身ごもったら、エリート外科医の溺愛が始まりました
再会のクリスマスイヴ
赤や金の装飾が街を飾り、どこを見ても煌めいている十二月。
寒いのに楽しい気分にさせてくれるのは、クリスマスの魔法なのだと子どもの頃から思っていた。
ベージュカラーのロングコートに、首元には淡いピンクチェックのストールをしっかりと巻き、防寒対策ばっちりで久しぶりにひとりでの外出。
コートからは収まらないお腹が出ていて、時折、中で動くのを感じていた。
そのたびについ笑みがこぼれてしまい、黒いワンピースが膨らむお腹をさする。
妊娠していると判明してから、早半年。
産み育てようと決意してからの日々は、あっという間でも大変なことの連続だった。
妊娠したとわかった途端、悪阻の症状がひどく出たのだ。
栄養を摂らなくてはいけないと思っても、体が受け付けずほとんど食べられない時期が続いた。
食べ物を口にすれば吐き気に襲われ、少し無理をすると本当に嘔吐してしまうこともあったくらい。
お姉ちゃんには、私の悪阻はひどいほうだと言われたほどだった。
お姉ちゃんが助産師だということもあって、食事の取りかたには多くアドバイスをもらった。
悪阻がひどければ、普通に一日三食取ろうとしないで、少量でも食事の回数を増やせば栄養は取れると教えられ、一日三食の量を一日五食に分けて食べるようにしていた。