身ごもったら、エリート外科医の溺愛が始まりました
「すみません、突然お邪魔します」
戻ってきた晴斗さんが急に丁寧な口調で頭を下げ、一瞬頭の中にクエスチョンマークが浮かぶ。
そうこうしているうちにその背後からもうひとり晴斗さんが現れ、目を丸くしてしまった。
「は、晴斗さんが……ふたり……」
これがまさに、瓜二つの一卵性双生児というやつなのか。
見分けがつかなくて、失礼を承知で凝視してしまう。
「で、なんの用があってここまで来たんだよ」
晴斗さんは訪ねてきた弟さんにどこか面倒くさそうに用件を訊く。
「ああ、今話す。だから、悪いが少し一緒に来てほしい」
「はぁ? 今度はなんだよ」
同じ顔をふたりのやり取りに見入っていると、弟さんが私へと視線を寄越す。
目が合ってやっぱり晴斗さんとそっくりで、失礼ながらもじっと見入ってしまった。
「申し遅れました。晴斗の弟の、成海貴晴と申します。すみませんが、少しの時間、晴斗を借りていってもよろしいでしょうか?」
急用だろうか、丁寧な口調と真剣な眼差しでお願いされ、「はい」と頷く。
「ありがとう。すぐに返しますので」
貴晴さんは私に向かって柔らかく微笑むと、晴斗さんに「悪いな」と言ってリビングを足早に立ち去っていった。