身ごもったら、エリート外科医の溺愛が始まりました
「ごめん。まさか連れていかれる用事だとは」
「大丈夫ですので、行ってください」
「ああ、すぐに戻るから、絶対に待ってて」
晴斗さんは「ちょっと行ってくる」と言い残し、貴晴さんの後を追いかける。
玄関でドアが開閉すると、ひとりきりになったマンションの一室は物凄く静かに感じられた。
何やってんだろ、私……。
やっとひとりきりになり気持ちが落ち着くと、冷静になって自分と向き合える。
最後の最後まで、晴斗さんには迷惑かけっぱなし。
でも、これでやっと、晴斗さんは私のことを綺麗さっぱり片付けられるに違いない。
あの沖縄で別れた日から今日まで、すいぶん長い間私とのことで悩ませてしまっていた。
薬を飲んで横になって休ませてもらっていたおかげで、お腹の張りは落ち着いている。
そばに置かれていたコートを羽織り、首元にストールを巻く。
晴斗さんが寝てしまった私に掛けてくれたらしい毛布を丁寧にたたんでソファの傍らへ置き、そっと腰を持ち上げる。
去り際、一度だけ部屋の中をぐるりと見回すと、窓際に置かれた飾り棚の上に沖縄で一緒に作ったアクアドームが置かれているのを見つけた。