身ごもったら、エリート外科医の溺愛が始まりました
待っていてと言われたものの、結局黙って晴斗さんちを出てきてしまった。
でも、もうこれまでみたいに晴斗さんが私を必死で捜す必要はなくなった。
私のお腹の子は自分とは関係ない。
そうわかったのなら、彼もホッとしただろうし、もう全てが終わったのだ。
これで、良かったんだ……。
頭ではそう思っているのに、なんでだろう、圧し潰されるように胸が苦しい。
とぼとぼと歩みを進めながら、鼻の奥がつんと痛くなってきて、地面を見つめる目から自然と大粒の涙が溢れ出していた。
「……うっ、っ」
大きなお腹で泣きながら歩く私を、駅前に近づくにつれ増えていく人たちがちらりと遠慮がちに視線を寄越していく。
足早に歩くこともできず、痛々しいものを見るような目に追い打ちをかけられる。
やっとの思いで家に帰ると、お姉ちゃんが玄関を飛び出してきた。