身ごもったら、エリート外科医の溺愛が始まりました
「ちょっと! 一体どこに行ってたの!?」
「ごめん……」
「何度電話しても連絡つかないし、何かあったかと思って心配してたんだから」
寝てしまっていたのもあるけれど、スマートフォンを見る余裕もなかった。
靴を脱ぎながらまた「ごめん」と言った私を、お姉ちゃんがじっと見つめる。
「どうしたの、その顔。何かあった?」
少し前まで泣いていたからだろう。
異変に気付いたお姉ちゃんが問い詰めてくる。
ストールを取りコートを脱ぐと、それを全部お姉ちゃんが受け取った。
「それが……バッタリ、会っちゃって……」
「え……? 会ったって……え、まさかこの子の父親に!?」
はっきり言わなくても、さすがお姉ちゃんは察しが良い。
「とにかく、休みなさい」
そう言って私の腕を取り、リビングのソファへと連れて行った。
部屋に入ると、見慣れた温かい空間にホッとする。
手も足もかなり冷えてしまっていることに今更気が付いた。