身ごもったら、エリート外科医の溺愛が始まりました


「はい……?」

「昨日の夜に入院してきた患者、宇佐美さん」

「ああ、はい。が、どうかされましたか?」


 看護師は俺がどこの医師なのかを、白衣の胸元のネームプレートをちらりと見て確認している。


「彼女、容体は? 誰か付き添ってる?」

「大丈夫ですよ。ちょっと無理されたみたいで。付き添いの方は特にはいらっしゃってないですけど」

「え?」

「普段の診察も、前に入院されてた時も、面会の方は特にいらしたことなくて。あ、でも、うちの宇佐美さんの妹さんなんで、その点は心配ないかと」

「私の妹に何か御用ですか?」


 そんな話をしていた時だった。

 近くからそんな風に声をかけられて、話していた看護師が「宇佐美さん!」と声を上げる。

 話に割って入ってきたのは、パンツスタイルの白衣を身に付けた別のスタッフ。

 彼女の顔を見ると、佑杏にどこか似た色白でくりっとした瞳が印象的な顔立ちをしていた。

 雰囲気はよく似ているが、髪型はロングヘアの佑杏とはちがいボブスタイルだ。

 目にしたネームプレートには、助産師〝宇佐美佑華〟とある。

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