身ごもったら、エリート外科医の溺愛が始まりました


「呼吸器外科の先生が、うちの妹になんの用が?」

「彼女の、お姉さん?」

「はい。宇佐美佑華です。ここで助産師として勤めてます」


 彼女の姉に会ったことは幸か不幸か。

 でも、明らかに確かめる必要がある。


「仕事中だと思うけど、ちょっと時間もらえるかな」


 そう訊くと、佑香さんは始めに俺と話していた看護師に仕事の代わりを頼み、病棟から離れた人けのない廊下まで移動をしていった。


「お話とは?」

「少し聞きたいことがあって。今聞いたことだけど、君の妹さん、誰も面会に来ないってどういうこと?」

「どういうことって……どうしてそんなこと、先生に教えないといけないんですか?」

「パートナーは? 付き添いにも面会にも来てないって聞いた」

「それは……」


 こんな風に問い詰めるつもりなんてなかったのに、濁そうとする様子からつい感情的に質問攻めにしてしまった。

 我に返って「悪い……」と謝罪する。

 でも、この様子は明らかにおかしい。

 元カレとよりを戻し、お腹の子もその男の子どもだとすれば、ここにも何度も足を運んでいるはずだ。


 やっぱり、佑杏があの時嘘をついたということか……?

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