身ごもったら、エリート外科医の溺愛が始まりました


「すみません、答えられません」


 佑華さんは頑なに口を閉ざす。

 佑杏から誰にも何も言わないでと口止めをされているのだろう。


「私も先生に伺いたいことがあります」

「俺に?」

「はい。仕事で長期、沖縄のほうに行かれていましたか?」


 彼女から出てきた言葉に、柄にもなくどきんと心臓が大きく音を立てた。

 強い眼差しでじっと顔を見つめられ、小さく息をつく。


「ああ、少し前まで沖縄にいた。それを訊くということは、彼女から何か聞いているということだな」


 今度は佑華さんのほうが動揺したように目を逸らし、言葉に詰まる。

 その様子から、沖縄であったことを大体は知っていて、その相手がどんな身分なのかも聞いていると察しがついた。

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