身ごもったら、エリート外科医の溺愛が始まりました
取り返すように溺愛して
一定の速度でぽたぽたと落ちてくる雫を、横になったままぼんやりと見つめる。
次、入院するのは、出産の時だと思ってたのに……。
再度の出血、加えて貧血を起こし、一時意識が遠のいた。
救急車に乗る羽目にならなかったのが幸いだったけど、お姉ちゃんがタクシーを呼び病院へ緊急で連れて行ってくれたのだ。
最近はお腹は張るものの出血もなかったのに、前に入院した時に逆戻り。
入院して少し様子を見た方が安心だと、主治医の先生に診断された。
体的に無理をしたのもあるけど、精神的に参ったのだと思う。
晴斗さんに嘘をついたこと……お腹のこの子も、悲しんだのかな……。
「佑杏、調子はどう?」
ふたりが入れる相部屋の病室に入院になったけれど、病棟に空きがあり部屋をひとりで使えている。
他の妊婦さんがいないのもあり、お姉ちゃんも家にいる時と同じように私と接することができる。
「うん、落ち着いてるよ」
まだ白衣の姿だけれど、時間的にお姉ちゃんは仕事を上がったのかもしれない。
私の横になるベッドサイドにパイプ椅子を持ってきて腰を下ろした。
話をするために、私も自分の横になるベッドの背もたれをリモコンを使って起こす。