身ごもったら、エリート外科医の溺愛が始まりました
「す、すごい……」
「さっきからそればっかだな」
「だって、すごいしか言葉が……」
新居に到着してから、私の口からは「すごい」と感嘆のため息が連発している。
資料だけですでに気後れしていたけれど、実際に訪れるとその比ではなかった。
駐車場に自分で入れに行かなくてもいい車寄せから、ホテルライクなエントランス。
そこにコンシェルジュまで駐在していて、私の今まで生きてきた世界では到底考えられない。
こういう場所にはどんな人が住むのだろうなんて考えてしまった。
少なくとも普通の会社員だとかは無理に決まっている。
会社役員だとか、晴斗さんみたいなお医者様とか、弁護士だったり、そういった高給取りの人たちの世界だ。
「キッチンも広い……あっ、バルコニー」
部屋に入ると見たいところだらけで、落ち着きなく住まいを見て回る。
天井の高いリビング奥の一面のガラス窓からは、ここがマンションだということを忘れてしまうような緑豊かなバルコニーが広がる。庭付き一戸建てのような景色だ。