身ごもったら、エリート外科医の溺愛が始まりました


「そういえば……性別は聞いてるのか?」

「あ、はい。女の子じゃないかと言われてます」

「女子かー」


 健診の際、エコー写真で性別を確認すると、「木の葉のように見えるのが女の子の証だよ」とお姉ちゃんに教えてもらった。

 その日の赤ちゃんの体勢なんかで確認し辛かったりもするけれど、何度か〝木の葉〟が見えているから女の子でほぼ確定だと言われている。


「どちらが良かったですか?」


 男の子?女の子?
 晴斗さんはどちらが良かったのだろうと気になる。


「俺は、どちらでもいいかな。どっちでも可愛いことに変わりないから。元気に生まれてきてくれればいい」


 私のお腹に手を当てたまま、優しい声がそう答える。

 ぽかぽかと温かい気持ちが胸に広がって「そうですね」と晴斗さんに笑みを見せた。


「おっ、動いた?」

「……はい、その辺りが今」


 お腹の内側から外に向かって押される感覚。

 赤ちゃんのかかとか手だ。


「お、おっ、ここ、出っ張ってる」


 晴斗さんが珍しくテンション高めに言葉を発していて、おかしくてクスクス笑ってしまう。


「ほんとだ、出っ張ってる」


 ワンピースの上から見てもお腹が変形していて、顔を見合わせふたりして笑っていた。

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