身ごもったら、エリート外科医の溺愛が始まりました


「佑杏の髪、柔らかくて艶があって触り心地がいい」


 ドライヤーで髪をなびかせながら、晴斗さんは背後でそんなことを言う。

 晴斗さんは長所みたいに言ってくれているけど、私は自分のこの髪があまり好きではない。

 細くてねこ毛だから広がるし、艶はあるかもしれないけれどパーマなんかは上手くかからない。

 前にふんわりパーマをかけてみたことがあったけれど、一週間もしないうちに取れて真っ直ぐに戻ってしまった。

 だから、面倒でもふんわりさせたい時はその日の朝にコテで巻かないと思い通りの形は作れない。


「よし、できた」

「ありがとうございます」

「今日は疲れただろ? 退院してきて、新居に初めて来て。なんだかんだ横にもなれてないし、そろそろ休んだほうがいい」

「そうですね」


 ドライヤーを片付けてきた晴斗さんが私に手を差し出す。

 その手を取り立ち上がらせてもらうと、晴斗さんは「おいで」と私をリビングから連れ出した。

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