身ごもったら、エリート外科医の溺愛が始まりました


「晴斗さんは優しいですね。普通、そんなこと言ってくれる男の人ってあまりいないと思います」

「えっ、そうか?」

「そうですよ。〝出産頑張って~〟みたいな人、多いと思います」


 情報収集のため、同じマタママのSNSなんかをよく見るけれど、その中でパートナーへの不満もよく見かける。

 出産という大仕事に心身共に寄り添ってくれない男性も多く、そういうのを見かけるたびに〝こんな思いをするならひとりで良かったかも……〟なんて思うことがたびたびあった。


「へぇ、人それぞれだな」


 大きなベッドが存在感を放つベッドルームに入ると、晴斗さんは丁寧に私がベッドに掛けるところまで連れ添ってくれる。

 綺麗な深みのある青色のベッドカバーはシルクで、深い眠りにいざなってくれそうな予感がする。


「よいしょ」


 ベッドに両脚を上げるだけで、つい「よいしょ」なんて声が出てしまう。

 先月あたりから仰向けで寝ることが苦しくなってきて、最近はどちらか横を向いて寝るようにしている。

 更に脚の間に抱き枕を挟んで寝るのが楽で、晴斗さんにもそれを伝えていたからちゃんとベッドには抱き枕が用意されていた。

 反対側に回った晴斗さんが掛け布団を持ち上げて私が横になるのを待っていてくれている。

 なんとなく「お邪魔します」なんて言いながら晴斗さん側を向いて横になった

< 164 / 238 >

この作品をシェア

pagetop