身ごもったら、エリート外科医の溺愛が始まりました


 私のとなりに横になった晴斗さんは、片腕を立てて肘をつき頭をのせる。

 沖縄の時ぶりにひとつのベッドに横になって、あの日のことを思い出してしまった。

 トクトクと鼓動が音を立て始めたのを気付かれないように、抱き枕をぎゅっと握りしめる。

 晴斗さんが近距離でじっと私の顔を見つめてきて、目を逸らそうにも逸らせず見つめ合う形になっていた。


「ひとつ、訊いていいか?」

「はい……?」

「妊娠がわかった時……どうして産もうと思ったのかなって。俺と連絡を取る気もなかったってことは、ひとりで産み育てていく気だったってことだから、どうしてなのかって」


 私の状況で、ひとりで産んで育てるという選択をする人はほとんどいないのかもしれない。

 堕胎を選ぶほうが圧倒的に多いだろうし、現実的だとも思う。

 だから、晴斗さんは疑問に思っているのだろう。


「堕ろすっていう選択肢は、初めからなかったんです。ひとりでも、産み育てていく覚悟ができたから……」

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