身ごもったら、エリート外科医の溺愛が始まりました
まだ見ぬ未来に不安がなかったわけじゃない。
子どもを産むということも、生まれた子を育てていくということも、何もかも初めてで、果たして私ひとりで母親としてこの子を幸せにしていけるのだろうかと思うばかりだった。
生まれながら片親にしてしまったこの子を、他の子たちと同じように人並に不自由なく育てていかなくてはならないと思った。
それがどんなに大変なことか、想像しただけでもわかることだ。
それでも産もうと決意したのは、何よりこの子に会いたいと思ったから……。
「考えが甘いって言われてしまうかもしれません。だけど……私のところに来てくれたこの子に、会いたいと思ったんです。この世界に迎えて、いろいろなものを見せてあげたいって」
晴斗さんは私の顔を見つめたまま、私の話をじっと聞いている。
「あ、でも、晴斗さんからすれば、黙って自分の子を産もうとしていたなんて、衝撃的ですよね……今は、結果オーライみたいな感じにはなりましたけど」
晴斗さんの立場になって考えると、自分の知らないうちにこの世に自分の血を引いた子が誕生してるなんて恐ろしいって思うかもしれない。
身勝手な考えだったと一瞬にして反省すると、晴斗さんは優しく微笑み私の頭をふわふわと撫でた。
「黙ってたってとこは早く連絡が欲しかったと思ったけど、もとはと言えばそれは俺が悪いから仕方ない。それに、衝撃的なんて思わない」
「え……?」
「もしもそうなったら、すぐに迎えにいくつもりだったから」