身ごもったら、エリート外科医の溺愛が始まりました


 晴斗さんの迷いのない言葉に、胸がきゅんと締め付けられる。

 嬉しくて幸せで、抱き枕から晴斗さんに手を伸ばした。

 晴斗さんの手が応えるように私を抱き寄せる。


「そんな風に思っていてくれたことも、今こうして一緒にいることも、私にとっては絶対に有り得ない未来で……」

「有り得ない? どうして」

「だって、晴斗さんには相応しい相手がきっといるんだと思ってましたから」


 例えば、病院の偉い先生の娘だとか、同じ仕事をする女医だったりとか……漫画とかで読むと、お医者様の相手はだいたいそういう女性ばかりだ。


「何、相応しい相手って」


 晴斗さんは何がおかしいのかふっと笑う。


「そんなのいない。俺は佑杏が好きだって、言ってるよな?」


〝俺は佑杏が好き〟

 この破壊力の凄さといったら半端ない。

 晴斗さんの腕の中で赤面すると、「可愛い」と言った彼の唇が私の唇に触れる。

 あの沖縄の夜以来の口付けに、慌てて瞳を閉じた。

 生温かく柔らかい晴斗さんの唇が、私の唇の弾力を確かめるように触れては離れてを繰り返す。

 探るように舌先が口内に侵入してきて、少しだけ舌先が触れ合った。

< 167 / 238 >

この作品をシェア

pagetop