身ごもったら、エリート外科医の溺愛が始まりました
ゆっくり流れる幸せな時間
「佑杏、用意できたか……って、それは俺がやるからいいって言ってるだろ」
朝食の食器を洗っていると、リビングに入ってきた晴斗さんが足早に近づいてくる。
スーツをきっちりと着こなしている姿についぽうっと見惚れてしまった。
今日はダークグレーのスリーピースに、深緑のレジメンタル柄のネクタイを締めている。
「このくらい大丈夫です。もう洗い終わりますし」
「大丈夫じゃないだろ、朝から食事の用意までしてくれたんだし」
「はい、ほら! 終わりました」
退院して、約三週間。
晴斗さんとの新しい生活にもやっと慣れてきて、今日から二月に入る。
「こら。俺の言うことが聞けないのか、佑杏は」
濡れた手をタオルで拭いていると、背後から晴斗さんに抱き締められてしまう。
大きく膨らんだお腹の上に晴斗さんの腕が回された。
眼下に見えるそんな光景に、また今日も幸せを噛み締める。
「もう昨日から薬も飲まなくていいと言われて辞めましたし、いつ産まれてきても問題ないから大丈夫ですよ。むしろ、ここからはどんどん歩きなさいって言われましたもん」