身ごもったら、エリート外科医の溺愛が始まりました


「ごめん、つい。これくらいにしとかないと目立つからな」

「もう!」


び、びっくりした……。

そうじゃなくても、晴斗さんが歩いているだけで目立っている。

すれ違う女性たちの視線がちらりと向けられているのを、私はここに来てから何度も感じているからだ。


「晴斗さん、見てください。あんなところにピアノが置いてありますよ」


 ショッピングモール一階を歩いていると、噴水のある開けた広場に白いグランドピアノが置かれてあるのを見つける。

 白いピアノというのは初めて見る気がする。


「白いピアノなんてあるんですね。初めて見ました」

「へぇ、ストリートピアノだな、これ」

「ストリートピアノ?」

「そう。自由に弾いていいですよって、こうやって置かれてあるピアノがあるんだよ。こういう場所とか、駅とか空港にもある」

「えー! そうなんですか? 知りませんでした」


 すると、晴斗さんは私の手を引きそばに設置されてあるベンチに座らせる。


「晴斗さん?」

「そこで聴いてて」


 え……? もしかして、弾いてくれるの……?


 私から離れていった晴斗さんは、白いグランドピアノの前まで行くと、椅子を引き腰を掛ける。

 白いピアノと晴斗さん。それだけですでに絵になっているのに、その指先から奏でられていくピアノの音色に、ドキドキと鼓動が大きく高鳴り始めた。

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