身ごもったら、エリート外科医の溺愛が始まりました
それから、軽くランチを済ませてまたぶらぶらと歩き回り、車へと戻った。
「疲れたんじゃない? 結構立ってる時間も長かったし」
「大丈夫です」
「お腹は? 張ってる?」
「んー……定期的にぎゅうってなる感じはありますけど、痛いとかはほとんどないです」
晴斗さんは「そっか」と言ってハンドルを握る。
「じゃ、そろそろいい時間だし向かうけど、いいか?」
「あ、はい」
うー、いよいよ晴斗さんのお父様とご対面の時か……。
どちらかというと、今からのほうが緊張でお腹が張りそうだ。
そんな私の心境を見抜いたように、晴斗さんは横でフッと笑う。
「何、緊張してる?」
「それは、はい。もちろんしてますよ」
付き合っている相手の親に会うという経験が、今まで生きてきて一度もない。
今の状況、交際を飛び越してお腹に赤ちゃんもいる状態で結婚のご挨拶に行くという、恋愛経験の乏しい私にとってはかなりハードルの高いものだ。
〝ハードル〟なんて例えではなく、むしろ高跳びくらいある。
「大丈夫だよ、そんな身構えなくても。佑杏のこと絶対気に入ると思うから」
「どこからそんな自信がくるんですか? 少し分けてほしいくらいですよ……」
「だから、俺が大丈夫って言ってるんだから大丈夫だって」
「だって、晴斗さんのお父様もお医者様なんですよね? もう絶対私なんか……」