身ごもったら、エリート外科医の溺愛が始まりました
「悪い、病院から電話だ」
ごま団子や杏仁豆腐が乗ったデザートのプレートがきたタイミングで、晴斗さんが席を立ち上がる。
通話に応じながら部屋を出ていき、お父様とふたりきりになってしまった。
「アイツがいたらなかなか言えないけど、初めてだよ、こうして晴斗が私に会ってほしい女性がいると言ってきたのは」
えっ……。
「そう、なんですか?」
「ああ。今まで一度も。逆に心配したくらいだが、私に会ってもらおうと思えるまでの相手がいなかったんだろうね」
晴斗さん本人の口からはなかなか聞くことのできない内容に目を丸くする。
モテるだろうし、きっと私と違ってお付き合いした女性は多いはずなのに、お父様に会ってもらったことがないというのには驚く。
同時に、それが特別に思えて嬉しくもなる。
「親の私から見ていて、晴斗は完璧主義なところがある。だから、女性に対しても順番を間違うような奴ではないと思っていたんだが……佑杏さんに出会って、情熱的になってしまったんだろうな」
お父様は仕方なさそうに笑みを浮かべてみせる。
お父様があの日の私たちを見透かしてしまっているようで、恥ずかしくなり視線がテーブルの上で泳いだ。