身ごもったら、エリート外科医の溺愛が始まりました
天使を迎えるとき


「いった――」


 その晩の深夜、寝室に私の声が響き渡る。

 自分で自分の声に起きたような状態の中、左脚が動かせない。


「佑杏、どうした」


 となりで寝ていた晴斗さんが飛び起きて、私を覗き込んだ。


「足が、足がつって」

「どっち、こっちか!?」

「はい、そっち」


 私の足元へといき、足先を持ってふくろはぎが伸びるように押してくれる。

 ぐーっとストレッチしてもらうと、つった足から変な力が抜けていった。


「はぁ……ありがとうございます……」

「大丈夫か」

「はい、なんとか。すみません、深夜に」

「いや、それは全然いいけど、本当につるもんなんだな、足」


 今まで生きてきて寝ている間に足なんてつったことなかったのに、妊娠してから頻繁に足をつるようになった。

 しかも、こうして就寝中にだ。

 妊婦さんによくあることらしいけど、結構つらい。

< 189 / 238 >

この作品をシェア

pagetop