身ごもったら、エリート外科医の溺愛が始まりました


「大丈夫か。何か出たって、もしかして破水じゃないか」


 トイレから出ていくと、待ち構えていた晴斗さんが訊く。


「ほんの少しだったんですけど、破水ならもっとどばーっと、ばしゃーっと出ますよね?」


 破水といえば、ドラマとかで見るやつはそんな感じだ。

 床が濡れるくらいで、こんなちょろっとではない。


「いや、ごく少量の破水もある」

「えっ、そうなんですか?」

「お腹の張りとか痛みは?」

「張ってる感じはあります。あと、腰の辺りが重いような」


 そう答えると、晴斗さんはバスルームからバスタオルを持ってきて私に手渡す。


「行こう。時期的にも状況的にも破水の可能性が高い」

「えっ」


 バスタオルを手にしたまま立ち尽くす私を置いて、晴斗さんは踵を返す。

 部屋から用意しておいた入院準備のボストンバッグを取ってくると、私の背に手を添え玄関へと連れていった。

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