身ごもったら、エリート外科医の溺愛が始まりました


 それから間もなくして、晴斗さんの運転で病院へと向かった。


「昨日の昼間から、実は前駆陣痛が始まってたのかもしれないな」

「え……前駆陣痛?」

「定期的にお腹の張りがあると言ってたから」


 確かにお腹はときたま張っていたけれど、薬を止めたからだし、もう張っても問題ない時期だしと特に気にしていなかった。

 そもそもこれまでお腹が張るのは日常的なことで慣れてしまっていて、多少痛みがあるような張りかたでもさほど気にしなくなっていた。


「このまま産むことになるんでしょうか?」

「初産だからなんとも言えないけど、可能性は高いな。陣痛がきても、治まる場合もあるからわからないけど」

「そうなんですね……」

「大丈夫」


 つい不安な声を出してしまうと、すかさず晴斗さんの手が私の手を取る。

 ぎゅっと握り締め、もう一度「大丈夫だよ」と言ってくれた。


「そばにいるから」


 なにもかも初めての体験がこれから待っていると思うと不安で怖くてたまらない。

 だけど、このぬくもりに救われる。

「そばにいる」その言葉に勇気づけられる。


「はい……」


 しっかりと繋がれた手を私からもぎゅっと握り返した。

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