身ごもったら、エリート外科医の溺愛が始まりました


 それから、時間の経過と共に感じる痛みが強くなっていき、その間隔も狭まっていった。

 痛みがないときはうとうととするものの、痛くなってくると目が覚める。

 次第に寝かかる余裕もなくなってきて、時間の間隔を計っていた晴斗さんが「本陣痛に入ってきたな」と言った。


「佑杏、子宮口の開き見てみるから分娩台移動しよう」


 時刻は早朝四時を回ったところ。

 お姉ちゃんに誘導され、さっき横になった分娩台へと上がる。


「……あぁ、痛い、痛く、なってきた……」

「すぐ落ち着いてくるから、治まったら内診するからねー。横向きが楽なら横向いてて」

「あぁぁ、痛い、痛いよぉ……」


 声を出すつもりなんてないのに、自然と声を出してしまうほど痛みが強くなってくる。

 唸り声を上げて痛みに耐えていると、近くで「テニスボールとかあります?」という晴斗さんの声が聞こえた。


「あっ、あります! 持ってきます?」

「お願いします」

 そんな看護師と晴斗さんのやり取りのあと、「佑杏、頑張れ」と近くで晴斗さんの声が聞こえた。

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