身ごもったら、エリート外科医の溺愛が始まりました
「晴斗、さん」
求めるように手を伸ばすと、すぐに力強く手を握ってくれる。
「ちょっと押すぞ」
そう言うと、手ではないもので尾骨の辺りをぐっと押される。
すると、痛い中でも少し楽な感じがして気が休まる。
そのうちに痛みの波が引いていった。
「成海先生、ありがとうございます」
「いや、俺は何も」
私の下で内診をしようとするお姉ちゃんが晴斗さんに声をかける。
仰向けになると、晴斗さんはさっき看護師に頼んでいたテニスボールで腰を押してくれていたのだとわかった。
「子宮口五センチ以上開いてきてるよー、赤ちゃんも下がってきてる。ここから一気に進めばいいんだけど。もうこのままここで横になってよう」
再度内診をしたお姉ちゃんは、いつも通り穏やかな口調で私に声をかけつつ、慌ただしくお産に向けて動き始める。
「お姉ちゃん……この痛いの、どのくらい続くの……?」
「どのくらいかはわからないけど、陣痛の間隔も短くなってるし、この感じだと早ければ一時間くらいかな。痛くなってるってことは陣痛が進んでるってことだから頑張って」