身ごもったら、エリート外科医の溺愛が始まりました
そんな待ちに待った旅行も、いよいよ明日が出発日。
初の沖縄旅行に一緒に行ってくれるのは、付き合ってもうすぐ一年になる彼氏、伊東卓哉だ。
二歳年上の卓哉とは、私が働くドラッグストアで知り合った。
卓哉の働くオフィスが近く、何かとよく買い物にきていたのだ。
店員とお客という関係だったけれど、ある日卓哉が仕事を終える私を出待ちして、「一目惚れでした」なんて告白してくれたのが始まりだった。
驚きと緊張で即答はできず、「お友達から……」と返事したことは懐かしい。
何度か食事や映画などに出かけ、正式なお付き合いがスタートした。
あれから、もうすぐ一年。
「あぁ、結構濡れたな……」
傘をさしていても雨脚が強く、羽織っているロング丈のシャツワンピースは裾のほうから雨に当たっている。
傘をたたみ、腕にかけているバッグからタオルハンカチを取り出す。
気休めに濡れた服やバッグをタオルハンカチでおさえた。