身ごもったら、エリート外科医の溺愛が始まりました


「いらっしゃい」


 どこに座ろうかと思っていたところにカウンターの向こうに立つ男性に声をかけられる。

 肩に着くか着かないか程度の長さの髪を無造作に流した、沖縄らしい色黒の男性。

 この店のマスターだろか?

 無精ひげも相まってワイルド系な雰囲気だ。


「おひとり?」

「あ、はい」

「どうぞ、カウンター、好きなところに」


 そう案内されて、入り口を入って左手に進んでいく。

 ちょうどL字に折れる手前の端のスツールに腰を下ろした。

 店内はクリーム色と木のぬくもりに溢れるインテリアで、マリン系のインテリアがオシャレに飾られている。

 天井から流木が吊るされ、珊瑚がゆらゆらと涼し気に揺れていた。

 聞こえてきたピアノは生演奏だったのかと、改めて奥のグランドピアノに目を向ける。

 大屋根が開けられたその隙間から覗いていた演奏者が男性で、思わず惹きつけられるようにじっと見つめてしまった。

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