身ごもったら、エリート外科医の溺愛が始まりました
「佑杏、改めておめでとう。はい、赤ちゃん胸のところに置くよー」
少しすると、きれいにされ肌着を着せられた赤ちゃんがタオルにくるまれてやってくる。
お姉ちゃんが横たわる私の胸の横に置いてくれた。
「小っちゃい……」
もっとなんか言うことあるでしょと自分にツッコみたくなったけど、それが素直に出てきた言葉だった。
少し前まで、自分のお腹の中で動いていたはずなのに、今こうして触れられる場所にいることが信じられない。
晴斗さんもすぐそばから言葉なくじっと生まれてきた子を見つめている。
そんな晴斗さんの顔をつい見つめると、私の視線に気づいた晴斗さんが私を見て「ごめん」となぜか謝った。
「いや、なんか……胸がいっぱいで、何も言葉が出てこなくて」
晴斗さんが手を伸ばし、指先でそっと赤ちゃんの頬に触れる。
自然とこぼれた彼の穏やかな笑みに、心が満たされていくのを感じた。
「佑杏……産んでくれて、本当にありがとう」
「晴斗さん……」
自然と目に涙が浮かんでくる。
とんでもないです。そんな気持ちを込めて小さく首を横に振った。
「私こそ……この子を産めたことに感謝です」
にこりと微笑んだ私の目尻から一筋の幸せな涙が流れ落ちた。