身ごもったら、エリート外科医の溺愛が始まりました
寝れたほうなんて言っているけど、二、三時間置きに起こされるのはほとんど眠れていないも同然のこと。
新生児期は仕方のないことだけど、しっかり睡眠が取れない分疲労も蓄積されていく。
ここに入院している間は本当にきつければ新生児室で預かってもらうこともできるけれど、自宅に戻ればそうはいかないのが現実だ。
「佑杏、今日はひとつ知らせておきたいことがあって」
黙ってじっと俺を見上げる佑杏の頭にそっと手を載せる。
「一か月、育児休暇を取らせてもらった」
「え……? それって、晴斗さんがですか?」
「そう。部長にも相談してて、申請を出してたんだ。人員的にも無理がなかったから。だから、一緒に子育てやろう」
そう知らせると、佑杏は目に涙を溜めて再び俺の胸に飛び込んだ。
「大丈夫、なんですか……? 晴斗さんが抜けて、診ている患者さんとか」
「うん、問題ない」
ちゃんと確認が取りたかったのだろう。
答えると、佑杏は更にぎゅっと腕に力を込めた。
「嬉しいです。そんなこと、まさかしてもらえるなんて思ってなかったから」
「佑杏、顔見せて」
顔を上げた佑杏は睫毛を涙で濡らしていた。
でも、目が合うとにっこりと笑顔を見せてくれる。
この顔を見られただけでも休暇を取った価値がある。
そんなことを思いながら佑杏の体を抱き寄せた。