身ごもったら、エリート外科医の溺愛が始まりました
「えっと……じゃあ、この季節のフルーツパフェをください」
「パフェね、少々お待ちください」
注文を終えると、再びひとりの時間が流れ始める。
店内をぐるりと見回すと、他にバイトっぽい若い女性がひとり料理を運んでいた。
店内の様子を観察しながら、私の意識はまたピアノの演奏へと持っていかれる。
しっとりとした心地いい、繊細な音色。
流れるような軽やかな演奏は、ピアノ上級者でないと奏でられないものだ。
男の人が弾いてるなんて思わなかったな……しかも、ピアノの似合う美形な人だわ……。
「いいでしょ、彼のピアノ」
「へっ!」
ぽーっと見惚れていると、いつの間にかカウンターの向こうにさっきの男性が戻ってきていた。
いきなり声をかけられて、スツールに掛けるお尻が浮き上がってしまう。
ピアノの男性を見ているのがバレバレだったようで、挙動不審気味にテーブルの上へと視線を戻した。
注文したフルーツパフェが出てきていて、大粒のサクランボが目を引く。