身ごもったら、エリート外科医の溺愛が始まりました
「あ……なんか、ふわっと」
立ち上がるといい気分に足元がふわふわとする。
「大丈夫か? あんまり飲んでないのに、久しぶりだからとか? 元々強くないほう?」
「いえ、お酒はそこそこ大丈夫なほうです。たぶん、久しぶりだからだと」
でも、自分で歩けないほどとかではないし、ちょっと気分がいいくらいだ。
こんないいレストランで酔っぱらうとかみっともなくて有り得ない。
晴斗さんは繋いだ手を離して私の腰に腕を回して支えてくれる。
「すみません、ありがとうございます」
レストランを出ると、晴斗さんはエレベーターホールへと向かう。
乗り込んだエレベーターで更に上の階を目指した。
客室フロアに降り立つと、壁が足元からライトアップされた黄金色に輝く客室廊下を進んでいく。
「晴斗さん、今日はありがとうございました。久しぶりにふたりで過ごせて、すごく楽しかった」
見上げた晴斗さんはすでに私を見下ろしていたようで、目が合うとじっと瞳の奥を覗くように見つめられる。
僅かに腰に回されている手に力が入った気がした。
「もう今日が終わるみたいなこと、言っちゃうんだ?」
「え……?」