身ごもったら、エリート外科医の溺愛が始まりました
「そうなんですか……でもやっぱり、会うまでは緊張しますね」
そんなことを話していると入り口から「晴斗!」と声がかけられた。
振り返ると、そこには車椅子に乗った高齢の男性と、その車椅子を押す晴斗さんのお父様の姿が。
それを目にして、車椅子の方がお祖父様だとわかった。
「爺ちゃん、久しぶり」
「なんだ晴斗、いつこっちに帰ってたんだ」
車椅子で近付いてきたお祖父様は、威厳のある雰囲気からは想像できないフランクな口調で晴斗さんに言葉を返す。
「去年の十月に東京には戻ってたんだ。会いに行けなくてごめん」
「そうか、お前も忙しいだろうからな」
そう言いながら、お祖父様の目が私を捕らえ、そしてクーファンに向かう。
「佑杏さん、初めまして。日野と申します」
横から晴斗さんが「俺の母方の祖父」と補足するように紹介してくれる。
穏やかな眼差しを受け、深く頭を下げた。