身ごもったら、エリート外科医の溺愛が始まりました


「ていうか、俺の個人情報言っちゃってましたよね?」


 パフェスプーンですくった生クリームを口に入れた瞬間、横からそんな声が聞こえてきて吹きそうになる。


 ば、バレてる……!


「悪い悪い。つい、な。彼女がお前のピアノに聴き惚れてたから、実は医者だっていう情報をプラスしたらどんなリアクションが返ってくるかと思ってよ」


 全く反省していないマスターの返答に、ピアノ弾きのお医者様は呆れたようにため息をつく。

 マスターは冷えて白くなっている細長いグラスと、瓶のお酒を彼の前に出し「はい、いつもの」と言った。


「すみません……大声出してしまって」


 話に入ってもいいものかと思いながらも、聞いてしまった手前謝罪を口にする。

 おずおずと視線を上げて斜め前の彼を見ると、向こうもこっちを見ていたようでバチっと目が合ってしまった。

 涼し気ではっきりとした切れ長の目と、鼻筋の通る整った印象的な顔立ち。

 女性受けするであろう顔面偏差値の高さに一気に緊張が高まる。

 彼の視線が自分に向いているというだけでどきりと心臓が反応していた。

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