身ごもったら、エリート外科医の溺愛が始まりました
夢のような一日


「これで、いいかな……?」


 洗面台に備え付けられた大きな鏡に自分を映し出し、ひとり唸る。

 綺麗なグリーン地に、オレンジと赤の小花がちりばめられた総柄のロングワンピース。

 可愛い!と気に入って買ったものの、普段は派手な気がしてなかなか着る機会がなく、沖縄旅行で着ようと持ってきたとっておきの一着だ。

 長い髪は頭の上でお団子にしてまとめ、耳元には大振りなウッドチャームのピアスをつける。

 昨晩、Dai’sで突如浮上した、晴斗さんに沖縄観光に付き合ってもらうという話。

 マスターがどんどん話を進めて決まったことだけど、本当に迷惑じゃないのだろうかと未だに気になっている。

『俺なんかでいいんだったら、別に全然構わないけど』

 そう言っていたけれど、断るに断れない空気になっちゃってたし……。

 そもそも、マスターがいなかったら私たちの間にそんな約束はほぼ百パーセントの確立生まれなかった。

 でも、うじうじ考えてても仕方がない。

 沖縄旅行も今日と明日と残りわずか。

 明日の夜には飛行機に乗って東京に帰るのだ。

 それなら、楽しまないと絶対に損。せっかくひとりでも来たこの旅行に悔いは残したくない。
支度を終え時計を見ると、時刻は九時を回ったところ。

 晴斗さんとはウミカジテラスのDai’sの前で十時に待ち合わせということになっている。


「忘れ物は……なし、と」


 客室を出て駐車場へと向かい、カーナビの履歴から昨日使った案内を開始させた。

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