身ごもったら、エリート外科医の溺愛が始まりました
「なに? どうかした?」
「えっ」
「さっきから横顔に視線を感じる気がすんだけど」
ば、バレてる……!
「なんかついてる? おかしい?」
「いえ! なんの問題もないです。そうじゃなくて、なんか変な感じがするというか……」
「変な感じ?」
「あー、晴斗さんに運転してもらってることがといいますか。あっ、晴斗さんって呼んじゃってますけどいいですか? 苗字……成海さん、がいいですか? それとも成海先生とか」
マスターが〝晴斗〟と呼んでいたのを聞いていたから、つい許可なく名前でさらりと呼んでいた。
気安く呼んでしまって慌てると、晴斗さんはフッと横顔に微笑を浮かべた。
「はじめのでいいから、名前で。先生とか付けられると、仕事中みたいな気分になるし」
じゃあ、晴斗さん、でいいんだ?
「……わかりました。じゃあ、晴斗さんで」
「俺はなんて呼べばいい? 名前?」
「あ、はい。佑杏で」
「佑杏ちゃん、な」
ちゃん付けで名前を呼ばれることなんて最近はもう全くなく、なんだかくすぐったい。
「ちゃんって付けてもらえる歳でもないんですけどね……」
照れ隠しに「ははっ」と笑ってみせる。