身ごもったら、エリート外科医の溺愛が始まりました
「だって、聞いてくれますか!? サプライズ訪問したら、部屋に女がいたんですよ? 私が来るなんて思ってなかったのか、もうバレてもいいと思ってたのか、なんなんだか知りませんけど、プチンときて、置いてあったカップラーメンの汁ぶっかけてやりましたよ」
「うっわ、マジか……」
「マジですよ、マジ! スカッとしましたよ!」
怒りの感情が露わになると、声のボリュームが勝手に上がっていく。
ハッとして晴斗さんに目を向けると、口元に笑みを浮かべて私を見ていた。
「すいません……つい」
カップラーメンをぶっかけて来たなんて、怖い女だと思われたかもしれない。
しかし、晴斗さんは謝る私に「全然いいよ」と言ってくれる。
「むしろ、吐き出したほうがスッキリできるんじゃん?」
優しい言葉をかけられると、負けないようにと踏ん張ってきた感情が揺さぶられる。
もう涙なんて出したくないし、見せたくもなくて、ぐっと奥歯を噛み締めた。
「私、昔から男運ないみたいで……さすがに現場に遭遇したのは初めてだったけど、二股かけられたりとか、尽くしすぎて振られたりとか、あんまりいい恋愛経験ないんです」
「いい恋愛経験、か……」
「まぁ、恋愛経験自体あんまりないんですけど、男運はかなりないかもしれません」