身ごもったら、エリート外科医の溺愛が始まりました


「おー……すっごい声」

「ご、ごめんなさい! つい!」


 振り返ると、晴斗さんは砂浜に座ったまま笑みを浮かべて私を見上げている。

 立ち上がり私の横へと並んだ。


「これで、スッキリ次いけるんじゃん?」


 私の気持ちを汲み取ってくれたみたいに、晴斗さんはにっと口角を吊り上げる。

 吐き出し、思いっきり叫んだことで、確かに気持ちは晴れ晴れしていた。


「はい。そうですね」


 もう、振り返ることもない。

 囚われていたものから解放されると、思考も自然と前向きになっていく。


「よし、行くか」

「はい! えっ……?」


 いきなり手を差し出され、大きな手の平と晴斗さんの顔を交互に見てしまう。


「え、あの……?」


 この手をどうしろと?と固まる私に、晴斗さんはじれったそうに私の手を掴み取った。

 晴斗さんに掴まれた手は、あっという間にしっかりと繋がれる。

< 53 / 238 >

この作品をシェア

pagetop