身ごもったら、エリート外科医の溺愛が始まりました
「おー……すっごい声」
「ご、ごめんなさい! つい!」
振り返ると、晴斗さんは砂浜に座ったまま笑みを浮かべて私を見上げている。
立ち上がり私の横へと並んだ。
「これで、スッキリ次いけるんじゃん?」
私の気持ちを汲み取ってくれたみたいに、晴斗さんはにっと口角を吊り上げる。
吐き出し、思いっきり叫んだことで、確かに気持ちは晴れ晴れしていた。
「はい。そうですね」
もう、振り返ることもない。
囚われていたものから解放されると、思考も自然と前向きになっていく。
「よし、行くか」
「はい! えっ……?」
いきなり手を差し出され、大きな手の平と晴斗さんの顔を交互に見てしまう。
「え、あの……?」
この手をどうしろと?と固まる私に、晴斗さんはじれったそうに私の手を掴み取った。
晴斗さんに掴まれた手は、あっという間にしっかりと繋がれる。