身ごもったら、エリート外科医の溺愛が始まりました


 その真っ直ぐな視線にどきりと鼓動が跳ねる。


「そんな風に思ってくれたのに、逃げるように帰っちゃうんだ?」


 掴まれた腕が引かれ、晴斗さんと対面する。

 どこを見たらいいのか視線が彷徨う私を、晴斗さんはクスッと笑った。


「そんなこと言われたら、帰したくなくなるんだけど」

「え……?」


 それってどういう意味?そう頭の中で思った時には晴斗さんの両手が私の頬を包み込んでいた。

 間近で目が合い、カッと顔が熱を持つ。

 晴斗さんの目が気のせいかどこか熱っぽく見えて、ドッドッと鼓動が高鳴った。


「嫌だったら今すぐ、振り払って逃げてほしい。じゃないと俺――」


 晴斗さんの言葉を遮るように、無意識に首を横に振っていた。

 嫌じゃない――その気持ちが、口より先に行動に出る。


「まだ……一緒に、いたいです」


 私の声を最後に、そこから先は互いに言葉はいらなかった。

 頬を包み込まれたまま、晴斗さんの傾いた顔が近づき、迷いなく唇が奪われる。

 触れた唇は微かに離れ、また微妙に角度を変えて重なり合う。

 優しくも探るような口付けは唇を割って次第に深まり、思考も理性も容易に溶かしていった。

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