身ごもったら、エリート外科医の溺愛が始まりました


「中まで湿ってる」


 雨の被害は思った以上に深刻な模様で、ワンピースの中に着ているキャミソールまでも染みている。

 裾が持ち上げられていき、万歳をする格好でキャミソールが脱がされた。

 廊下の照明が届くだけの暗い部屋の中で、再びベッドにそっと押し倒される。


「佑杏……」


 今日ずっと〝佑杏ちゃん〟と呼んでいた晴斗さんが、名前だけで私のことを呼ぶ。

 優しい指先が、自分でも知らなかった姿を暴いていく。

 それはまるでピアノの鍵盤に触れるように繊細で、くらりと目眩に似た恍惚感に襲われた。

 あの素敵な旋律を奏でていた指先が、今自分へと触れている。

 そう思うだけでも陶酔してしまい、全身の熱は上がり続けた。

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