身ごもったら、エリート外科医の溺愛が始まりました
寝ぼけてる……?
眠っていると、気付かなかった長い睫毛の存在にあっと驚かされる。
綺麗な寝顔にどきりとさせられながらも、無防備なその姿に思わず笑みがこぼれてしまった。
気付かれないように腕をそっとはずし、するりとベッドを抜け出る。
昨日濡れてしまったキャミソールとワンピースはハンガーを借りて部屋の中に干させてもらっていたのもあり、着ていける状態に復活していた。
なるべく音を立てないように、起こさないように身支度を整える。
着替え、荷物を持つと、最後に眠る晴斗さんの顔を見つめる。
すごく、楽しかったです。
幸せな思い出を、ありがとうございました。
本当は直接そう言いたい気持ちもある。
だけど、その想いをぐっと押し込め部屋をあとにした。
エレベーターに乗り込み、バッグから取り出したスマートフォンに表示されていた時刻は五時五十分。
足早に車へ戻り、久しぶりの運転席に乗り込む。
そのまま宿泊先のホテルに向かって車を走らせた。