身ごもったら、エリート外科医の溺愛が始まりました


 六月初旬。

 梅雨入り間近ということもあってか、朝から降ったりやんだりの弱い雨が続いている。


「生クリームって、液体の小っちゃいパックのでいいんだよね? あと、粉チーズ。他は大丈夫?」


 スーパーの乳製品売り場でスマートフォン片手に話す相手はお姉ちゃん。

 今日は仕事後、お姉ちゃんのひとり暮らしするマンションに遊びに向かう。

 会うのは沖縄のお土産を持っていった以来だから、一か月以上は経っている。


「はーい、了解。じゃ、買って向かうね」


 お姉ちゃんは今日は夜勤明けでお休み。

 一緒にご飯でも食べようと昨日誘いの連絡をくれたのだ。

 私のほうは特に予定もなかったし、お姉ちゃんにも会いたかったし、二つ返事で行くと答えた。

 お姉ちゃんが住んでいるのは、私の住まいの最寄り駅から電車で五個離れた駅近のワンルームマンション。

 職場の大学病院が近く、通勤に便利だと選んだ住まいらしい。

 もう何度も行っているけれど、オートロックでセキュリティも万全な女性も安心して住めるマンションだ。

 築もまだ新しく綺麗なところもポイントが高い。

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