身ごもったら、エリート外科医の溺愛が始まりました
何も考えず、自分の気持ちだけで答えていいというなら、晴斗さんにまた会いたいと思う。
あの旅行から帰ってきて、一緒に作ったアクアドームを何度も手に取り眺めている。
『俺との思い出ってことで、記念に作らない?』
そう言ってくれた温かい眼差しが忘れられないのだ。
あの沖縄で過ごした時間を思い出すと、彼ともっと一緒に過ごしたかったという気持ちは確かに存在する。
だけど、それはあの一日だけにかかった魔法。
私のような一般庶民の、どこにでもいる普通な女とは、彼は間違いなく住む世界が違う。
「ありがと、お姉ちゃん。でも、いいの」
「いいって……」
「きっと向こうは、その場限りの雰囲気とかで私と過ごしてたと思うし、また会ってどうこうなんて、きっと望んでないから」
「佑杏……」
私に本気で好意を持たれても、きっと迷惑なだけ。
だから、忘れなくてはならない。彼のためにも、自分自身のためにも。
だけど、お腹に宿っているであろう命は、私の気持ちとは関係ない。
ちゃんと向き合って、真剣に考えなくてはならないことだ。