Pride one
「まきちゃんって人も同じ会社の人? それとも新しい友達? 顔はまあまあだけど性格が良さそうじゃない? ……ねえゆず、何かしゃべってよ。寂しいじゃない」
「友達と来るってことはさ、忙しいとこ休み合わせてもらってんだよ。そういうの分からない?」
優月が凄むが、
「何言ってんの。おじさんとおばさんは七月から二ヶ月以上休みないのよ? 何も言われないからって何もしないのはどうかと思うよ? 帰ってきたときくらい家の手伝いしなさいよ。大学行くのにあんなにたくさんお金出してもらったのに」
と、美波はあっさりと退けた。
「何か反論したいなら、聞いてあげるけど?」
「……もういい」
美波をそこに残したまま、優月はひとり階段を駆け下りた。
☆
配膳をしながら声をかけ、宿泊客には料理の説明のほかに、近隣の見所や観光地についてひと通りの案内をする。食後には各部屋の下げ物と風呂の使い方や順番の説明。それらの仕事をすべて終えて、優月はようやく食器洗いにたどりついた。
「友達と来るってことはさ、忙しいとこ休み合わせてもらってんだよ。そういうの分からない?」
優月が凄むが、
「何言ってんの。おじさんとおばさんは七月から二ヶ月以上休みないのよ? 何も言われないからって何もしないのはどうかと思うよ? 帰ってきたときくらい家の手伝いしなさいよ。大学行くのにあんなにたくさんお金出してもらったのに」
と、美波はあっさりと退けた。
「何か反論したいなら、聞いてあげるけど?」
「……もういい」
美波をそこに残したまま、優月はひとり階段を駆け下りた。
☆
配膳をしながら声をかけ、宿泊客には料理の説明のほかに、近隣の見所や観光地についてひと通りの案内をする。食後には各部屋の下げ物と風呂の使い方や順番の説明。それらの仕事をすべて終えて、優月はようやく食器洗いにたどりついた。