Pride one
「今はいないけど」
「じゃあいいじゃない。ゆず子供大好きだし、相手なんて何でも良いから早く欲しいってよく言ってるじゃない。わたしがたくさん生んであげるよ」

「なんかそれじゃ、条件と結婚するみたいじゃん」
「……わたしはゆずのことが好きだよ。ずっと前から。だから、わたしにとっては条件と結婚っていうだけじゃないんだよ」

 美波は目を伏せる。

「ネット繋がればどこでもできるったって、チームで仕事してんのに、俺だけ静岡ってわけにはいかないよ。今の会社でもっと勉強したいことあるし、こっちには帰ってこれない」
「わたしとじゃ絶対にいやなんだ?」

「っていうか……、もぐらをそういう対象として考えてるなら、とっくに付き合ってるって。そういう距離じゃん」
 優月はきっぱりと言った。

「女として見れない、ってやつか。はっきりそう言われちゃうとさすがに悲しくなっちゃう」
 そう言う割には、美波が悲しんでいる様子は見られない。

「普通さ、男が風呂に入ってて、女は平然と中に入ってこないでしょ。話がしたいにしてもさ」
< 17 / 53 >

この作品をシェア

pagetop