Pride one
「もう大人になったしさ、男女が一緒にお風呂っていう空間にいれば、ゆずもちょっとはその気になるんじゃないかなーって」

「ならないっての。つーか、もぐら服着てるじゃん」
「じゃ、脱げばいいんだ? 残念ながら美白とはいかないけど、ゆずよりも毛深い美波さんとは夏前にお別れしたんです。全身脱毛により脱もぐら。なーんちゃって」

 いいながら立ち上がってベルトを外し、美波はボーイズライクなジーンズを一気に腰まで引き下げた。

 見てはいけないと思うのに、なぜか動じてはならないという意識も強く働き、優月は目を逸らせなかった。

美波のキャラクターには不似合いな淡いピンク色の下着の向こうに、日焼けとは無縁の青白さが透けている。肌にぴったりと張り付く薄い生地の向こう側の画を脳が勝手に補完しようとする。

「ゆず、見たい?」

 悪戯心すら感じられない、緊張を含んだ声だった。今までとは少し違う意識を向けたせいなのか、美波の息遣いがすぐ間近に感じた。優月は首を横に振った。

「興味なし」
 言葉とは裏腹に、鼓動が速くなる。
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