Pride one
「なにまきちゃんに協力せがんでんの、あいつ……。っていうか、あいつの話は癒しと結びつかないって」
「そう? 美波さん、勢いがあって面白い人だよね」

「そういうの、強引な変人っていうんだよ、まきちゃん。さっきだってあいつ、俺が風呂入ってるのに中まで押しかけてきてさ。もうさ、聞いてよまきちゃん。全部話すから」

 優月は風呂場で起きてしまったことの逐一を坂巻に報告した。地元の友人ならば、やった、やらないの下世話な話題に発展しそうなところだが、茶化さずに聞いてくれるから、優月も素直な気持ちを話すことが出来た。坂巻もさすがに驚いた様子だった。

「そっか、大変だったんだね。でもきっと、美波さんは誰にでもそういうことをやるわけじゃないんだよな」

「うん……。それは分かるんだけど」畳の上で仰向けになったまま、優月は両手で顔を覆った。
「あのさ。まきちゃん、親しい友達だった子にあとから恋愛感情を持ったりとか、そういうのある?」

「経験はないけど……、そういう状況の友達を見ていて、もしかして何かきっかけがあれば変わるのかもしれないな、とは思ったことはある。ほら、嫌いなわけじゃないし、お互いの良いところも悪いところも認め合ってることは確かなわけだから。合う合わないっていうのとはまた少し違うから、難しいけど」
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