Pride one
「優月くんって、初対面でもぜんぜん人見知りしなくて驚いたけど、育ってきた環境を知るとなるほどなあ、って思う。人懐っこい感じとかもね」
「まあねえ。自分の家にいつも知らない人がうろうろしてる環境って、当たり前だったから。でも、よく考えたら普通はそういうのないもんね」
「ないない」
坂巻が歯を見せて笑った。
「ねー、風呂どうする? 鍵かけて部屋ごとに貸切で使うやつだから、先入っちゃわない? 他のお客さんにはこれから食事出すから、今なら絶対空いてるし」
優月が片手を高く上げて提案する。
「じゃ、今いこっか?」
坂巻は神長に視線を投げる。
「ですね。ついでに食器も下げますか」
とりあえず、と神長が食器を重ね始めたところで、部屋の扉がノックされた。
「はーい?」
返事をしたが、それっきり反応がない。優月が扉をがらりと開けると、小麦色に日焼けたポニーテールの女性が仁王立ちしていた。
優月の幼馴染み、茂久田美波だ。逞しい、という形容詞が何よりもしっくりくるのは、背丈に似合わぬ肩幅と、化粧っ気のないあっさりした顔立ちのせいかもしれない。
「まあねえ。自分の家にいつも知らない人がうろうろしてる環境って、当たり前だったから。でも、よく考えたら普通はそういうのないもんね」
「ないない」
坂巻が歯を見せて笑った。
「ねー、風呂どうする? 鍵かけて部屋ごとに貸切で使うやつだから、先入っちゃわない? 他のお客さんにはこれから食事出すから、今なら絶対空いてるし」
優月が片手を高く上げて提案する。
「じゃ、今いこっか?」
坂巻は神長に視線を投げる。
「ですね。ついでに食器も下げますか」
とりあえず、と神長が食器を重ね始めたところで、部屋の扉がノックされた。
「はーい?」
返事をしたが、それっきり反応がない。優月が扉をがらりと開けると、小麦色に日焼けたポニーテールの女性が仁王立ちしていた。
優月の幼馴染み、茂久田美波だ。逞しい、という形容詞が何よりもしっくりくるのは、背丈に似合わぬ肩幅と、化粧っ気のないあっさりした顔立ちのせいかもしれない。