幽霊との一夜。
あたしは連子だ。

むかしは、姥捨て山があり齢にして六十才を過ぎた人は最低限の荷物をもち、山に捨てられたとか。

で、デンデラ野の研究をしてる。文学部で。

あたしは幽霊話をしたいとは思わない。ただし幽霊を無闇に怖がるのも、逆に軽視するのも間違いだと感じる。

夏目漱石の夢十夜だったか、文豪は幽霊を鋭く考えていたものだ。

夕方、図書館から抜け出すと、学校のベンチでタッパーにいれた果物を食べる。数切れの林檎の切り身だ。

あたしは水筒から紅茶を淹れる。

幽霊は美しいものだ。魂とは純粋なものだと思うし、一方で肉体がもたらす楽しみも忘れたくない。
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