三月白書
午後の教室で…
秋の運動会も終わって、校庭に植えてある桜の赤い葉っぱもだいぶ落ちてしまった季節の夕暮れ。
教室で一人残って考え事をしていたわたし、葉月真弥は教室に戻ってきた先生に、だれにも内緒にしてきたことを話すことにした。
「先生。わたし、笹岡を受験したいんです……」
「葉月さん?」
先生は驚いたようにわたしを見る。
驚いて当たり前なんだよ。学校で口に出したのはこの時が初めてなんだもの……。
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