二択
律子は自ら手を伸ばすと、廊下の先にある鉄製の扉のノブに手をかけ、外に出た。

そして、外の眩しさに目を細めた。


「先生?日傘はございませんか?日射しが眩し過ぎて、お肌に悪いですわ。紫外線がきつくって」

律子の言葉に、長谷川は部屋の前で、もう一度頭を下げた。

「生憎…ここには、日傘はございません」



「仕方ありませんわね」

律子は、外に出た。

「少しくらいの散歩でしたら…陽に焼けないでしょ」

目を細めながら、光の下に出た律子はすぐに振り返り、

まだ部屋の前で見守っている長谷川に、頭を下げた。

長谷川も笑顔で、頭を下げた。

そんな長谷川に微笑みかけると、そのまま…ゆっくりと前を向き、歩きだす律子の真上に、




月が輝いていた。


End…。



< 10 / 157 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop